喝采/あおい満月
 
たくさんのてのひらが、
胸のうちをなでてくる。
私はその愛撫のあたたかさに、
目がくらみ、
行くべき路を忘れてしまう。
たくさんのてが、
雨を耳にあびせた。
たくさんのてが、
子どもたちを流していった。
たくさんのてからてへ
導かれて、
このからだは、
丘を抱いた。
たくさんのてが、
この背中にすみついて
私は両腕をあげると、
てたちは鳥になって丘から、
空へはばたいていく。

私は足元をのぞきこむ。
ぐつぐつと沸き上がるものが、
皮膚を満たしていく。
すると、
私のからだからたくさんのてが
生まれては私を愛撫していく。
私はいつかの子どもになって
てのひらの海を流れていく。


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