音色/鷲田
 
河は悠々と流れている
生活の小さな変化を浄化するように
景色は微動だにせず
時という空間を喪失している

平然とした日常
それは天から与えられた恵み
蒼い空はのんびりと欠伸をしている
明日を導き、私達を優しく抱擁するように

河の上を走る電車
人工的で定期的なリズムが響く
「ゴトン、ゴトン、ゴトン、ゴトン、ゴトン、ゴトン」
電車は乗客を乗せて今日も目的地へと向かう

その走る電車のように
私達は何時も目標という道標に向かって進んでいる
現代という時代に遭難することを恐れ
「現実」という音色を奏でるために
それはまるで自然の音と人工的な音が繰り出す二重演奏のように

「2016年2月28日」というある日の響き
その響きには日常が沢山詰まっている
不安という埋もれた音が鳴る
期待という突出した音が鳴る
生活という乾いた音が鳴り響く

陽射しが窓から透けて見える
休日の午後の明かりが少女の頬を明るく照らす
ああ、あなたが現代という時代に染まる頃には
どのような音色が世界に奏でられているのだろうか
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