鍵 /
服部 剛
草茫々の只中を
分け入ってゆく…夜明け前
(突如の穴を、恐れつつ)
それは完(まった)き暗闇に似て
清濁の水を震える両手の器に、揺らし
あわせ、呑む。
――我は信じる。
この手に朧(おぼろ)なひかりを帯びた
一つの鍵を。
戻る
編
削
Point
(1)