鍵   /服部 剛
 
草茫々の只中を
分け入ってゆく…夜明け前
(突如の穴を、恐れつつ)

それは完(まった)き暗闇に似て
清濁の水を震える両手の器に、揺らし
あわせ、呑む。

――我は信じる。
  この手に朧(おぼろ)なひかりを帯びた
  一つの鍵を。  





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