パッチワーク/あおい満月
 
あなたは、
私を時に追いかけながら、
しなやかに逃げていく。
あなたを追いながら、
私の目にうつりこむ景色は、
万華鏡のように美しく、
手ぶれた写真のように、
水面の揺れのように艶めいている。

あなたは時々、
私に赤い林檎を見せる。
私は言われるがままに、
白い歯を立てる。
すると林檎は消え失せ、
空き缶が残る。
私は空き缶を噛んでいた。
朝だった。寒い冬の朝に。
鴉になったあなたの笑い声が谺する。

それでも私はあなたを愛する。
綿菓子のように儚いあなたの、
すりぬける心を。
あなたに私の熱を伝える。
伝え続ける。
あなたは目を開けたまま動かない
[次のページ]
戻る   Point(6)