国旗/あおい満月
 
私の腕が水になっていく。
腕だけではない。
身体全体が水になり、
目だけが残った。

雨が降っている。
雨水が排水溝に流れていく。
目だけになった私は、
排水溝から未知の海を目指して
流れていく。

洗濯物が国旗のように揺れている。
洗濯物の国旗を、
よく目を凝らして見てみると、
鋭い光を放つ月を持った、
ひとりの私が、
縫い針のような目をして、
目だけになった私を見ている。


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