現実/鷲田
 
現実という時雨が降る朝に
大地が感じるのはどのような温度か
木の枝葉は水滴の重みに耐え
明日の太陽を望んでいる

今、曇った雲の切れ端から
太陽の光が漏れている
影と光が織りなす景色に
現実の冷たい雫が頬を伝う

現実の冷たさと一定のリズム
反応するのは誰の感情か
窓ガラスに映し出される幻影は
困難を着色する忘却の無邪気さ

今、沈黙の空は
蒼さに染められ震えている
何もない足元に 何もない未来に
現実は何時も冷たく彩られる一枚の風景画である
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