海の声/あおい満月
 
手のひらの奥から、 
沸き立つ海の声は、 
私の睫毛を掠めながら、 
空に向かい飛んでいく。 
私は罪という罪を、 
毎日犯している。 
誰もが罪と認めないことでも、 
私のなかでは明らかに罪なのだ。 
たとえば、 
満員電車のなかで障害者や、 
妊婦さんを無視して座りながら 
眠り込む大人の首を締めて、 
刃物をつきつけてみたり、 
私の頭のなかは、 
一種のサバイバルだ。 
私でさえも、 
名前も知らない誰かに、 
狙われているかもしれないのに。 
書くこと事態が罪なのか。 
私はその境界線にいつも悩まされる。 
自分の持つあらゆる悪を浄化するの
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