さよならの跡/殺風景な部屋/凍月
君の指先の温度を
以前触れて測ったのに忘れてしまった
まだ火のついた吸い殻 逆再生される夢
千円札は五百円玉二枚にはならないし
五百円玉二枚は千円札にはなれない
モルタルが壁から離れそうだ
アスベストが綺麗な天井
剥き出しの配管に風情を感じる
音の鳴らないオルガン
埃を被っている静かな鍵盤
床に さよならが擦れた跡
枯れ落ちた姿を見る為に放ったらかしにされた観葉植物
君の指先の体温
この殺風景な部屋と同じくらいだったんじゃないか
と
今では思う
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