異国の夢 /服部 剛
オランダのチューリップ畑の畔(ほとり)に
浅い川は緩やかに流れて
カーブを描く辺りに
一人の風車は立ち
やがて赤と黄色の無数の蕾(つぼみ)は
過ぎゆく風に身を傾げ
遠い風車の巨きな十字は
音も無く…回り始める。
――僕は、風車になりたいなぁ…
――なれるわよ、あなたなら
――一体どうすればなれるかなぁ…
――空から、川から、花の蕾から
大気に降りそそぐあの風を、吸う時
あなたはあなたに、なるでしょう
傍らに現れた
天使の面影は ふっ と消えた。
目が覚めた、朝の部屋。
窓を透ける、仄かな日射し。
――青い硝子(ガラス)戸が一瞬かたり、と揺れた。
戻る 編 削 Point(4)