骨/あおい満月
 
ないから。
大人の私でさえ、
年明けのシャッター通りの商店街は怖い。

シャッターの影に隠れている獣がいる。
獣は狙っている。
へらへら浮かれる若者たちを。
シャッターのなかの獣たちは、
刃を研ぎ澄ませている。

私はそれに気づかずにやりと
三日月を出した。
その刹那、
獣がぎらりと光る刃を私に振りかざす。
刃は月の光りに似ている。
私は自身の身もかえりみずに
恍惚する。

ちくちくちくちく、
今日もベンチに座りながら、
骨たちが囁いている。
(アノコハオイシソウネ)


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