手紙/あおい満月
 
切れた指の皮膚の、
先端から咲いた小さな焔が、
野を駆けるように、
街へと拡がっていく。
私の思念のなかの街へと。
思念の街には色々な人が住んでいて、
皆、凍えながら何かを待っている。
焔は街を焼き払うためではない。
そこに暮らす人々に、
細やかなぬくもりを与えるため。

*

私は憑かれたように
手紙を書く。
神龍を宿したその背中から、
伝わる熱に向かって。
其の背中のあなたは、
ただただ笑うだけかもしれない。
けれど、
感じたものは忘れない。
私はその背中の感動を
写真に撮るように便箋に書き取る。

**

私はいつも、
子どもと同じ目線に
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