奇跡/あおい満月
ほどの嘘をついた。
あなたは感づいていたけれど、
雲のように掴みどころがなかったために
知らないふりをしていたに違いない。
私は嘘をつくしかなかった。
そうして自分を慰めてきたのだから。
※※
あなたは兵士になって、
私の部屋をくまなく漁る。
やましい新聞や雑誌はないだろうか。
見えないパソコンには卑しいメッセージは
ないだろうか、
あなたは蟻になってくまなく私の領域に入り込もうとする
あなたは本が嫌いだ。
私が買ってきた本は全部床に投げ捨てる。
あなたは本当は私を愛している半面私を憎んでいる。
私にはわかる。
あなたは正直だ。
たった一滴の油だけで
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)