奇跡/あおい満月
 
『奇跡』               あおい満月

あなたは私を、
べしゃべしゃになるくらいに
叩き潰した。
私は鏡にそれを全部叩き映した。
あなたはそれを知らないままに
私を思い通りの人形の型にはめようとした。
私はその思念の奥にできた小さくも大きな
大国から逃げ出した。



あなたをなくして、
一人になった私は、
心のどこかに蟻の巣をつくった。
蟻たちは毎夜に入っては出て行った。
私は夜が楽しかった。
けれど深夜を過ぎる度、
どこか寂しくなった。
人は環境が苦しいほど、
つかの間の愛がない限り嘘つきになるという。
わたしもあなたに数え切れないほど
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