コンクリート/あおい満月
 
私のすべてに帰依するもの。
私から外へ帰依するもの。
消えていく、あるいは、
はじまっていく暗い闇さえ、
今は一筋の光に照らされている。

手にした者しかわからない、
痛みとぬくもりが、
握りしめた皮膚の下で絡まりあう。
みだされた感情は、
強い力を求めて飛び散る。
飛び散った先には、
鏡になったコンクリートが、
にやり、
人形の三日月に震えている。

感情を吐露したい。
けれど感情を吐露する皮膚の
毛孔が見えない布に包まれて見えない。
だから身体が余計に熱を増す。
感情は鑢(やすり)のように、
燃えながら磨耗する。
磨耗している間は生きているのだ。
終わりとはこの指が切れたとき。
指が切れる刹那を射止めた視線に
すくわれた世界。
それは私の、


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