骨のなかの血/あおい満月
切りつけた樹皮のような皮膚からの
血の疾走が止まらない。
血は螺旋になった虹のように、
この腕を伝いおりていく。
かたかたかたかた、
血の足音が三半規管を通過して、
押さえられた手のひらに谺する。
手のひらは私のものであって、
私のものではない。
それは放り去った過去どもの骸。
*
段ボールを持ち上げる。
段ボールの中には毬のような丸いものが入っているらしい。
わずかに背中に切るような痛みを感じて、
手から段ボールを落とした。
びりびり段ボールは裂けて、
なかから毬のような丸いものが転がった。
毬のような丸いものは骸だ。
骸の顔を、
私はどれも知ってい
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