∝-1/もり
 
彼女たちが
致死量ギリギリの寂しさを標高1982mで微温湯に溶かし眠り姫になるそのまえに
彼らが
キッチンタイマーの音で目覚め
マジックミラー越し虎柄セーターの看守に連行される
そのまえに


ドーム




のように


ろ !
男たちが
満員電車の凹みに溶けてゆく
女たちが
0.05の裸眼に伊達眼鏡をかけ
まだ血の付いた毛皮をはおり
夜の街へ繰り出す
子どもたちは言葉を忘れ
銃口の向け方と安全レバーの外し方を覚えていく
老人たちが
病棟のアルコールスプレーを飲み干して昏倒する 夜勤者とともに



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