雲の上は晴れているのに/
天野茂典
雪は雨に変わって降っている
みずからの重さを溶かして
まるで自分を打ち消しているかのように
その姿を相殺している
真っ白だった自分が嘘だったのだろうか
雨は降り続け 雪化粧を殺ごうとしている
雪の温度を雨の温度に変えて
雪は静かに溶け去ってゆく
雪は照れ屋のぼくの姿に似ている
(涙は雨のようには流れないが)
2005・02・19
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