太陽/鷲田
太陽が現れて、眩しい光が差し込む
水面に揺れる地平線
蒼く染まった頭上から
歴史を振り返ることなく
生活を語ることなく
背中には影
光と同化することを拒否したホモ・サピエンス
我々は日常を黒く隠している
儚さを心にしまい、脆弱さと共に
ああ、明るく光る深紅の唇
我々は太陽に恋をしている
花々を咲かせ、足元を照らす一つの道なり
果物が育つ土壌の茶色
街を彩る季節の息吹
万物は太陽だったか
微塵の狂い無く進む秒針
冬の陽光の匂い
空の色を教えてくれた朝の目覚め
見つめることが出来ない
太陽も死することも
それは眩しすぎて
永遠の形をしている
聴くことが出来ない
太陽も生きることも
それは静かすぎて
瞬間の形をしている
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