わたしたちは宇宙の地平線となってしまう/モリマサ公
 
敷を通過して
わたしたちは時間をまとって通過していく
最初でも最後でもない物語のところだけがはっきりみえた
プラスチックやレストランや様々なコインが見えないクラい場所にころがって
たゆたう声のようなものばかりがとどまって重なっていく
リンゴの暖かいジュースにショウガを少しすって飲みなさい
青と緑の枠線が敵の存在を証明している
ぶよぶよしている輪郭のあたたかい皮膚をやぶいては誰かとつなげて
かさかさの皮膚を剥いでは誰かとつながった
いい部分がつながってひろがって
汚れた部分がつながってひとつになって川みたいだ
かなしい部分はすべてのそれぞれのかなしさと融合して結合し流動していた
わたしはもう誰でもなかった
よかった
もうしんでもしななくてもよかった
ありふれた宇宙の大河として吸い込む息の中に様々な物語が流れ込んでくる
吐き出すよりはやく光の速度をこえて
わたしたちは宇宙の地平線となってしまう




 
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