尾行/高橋良幸
日が短い秋の夕暮れに気づいた
俺はあとをつけられている、
たしかに後ろで何かが擦れてリズムを刻んでいる
こうして気づくことはその音速と
歩くスピードの関係で起こる現象だ
俺は尾行者に通告してもいい
気づいている、というサインを音速に乗せてもいい
歩みのスピードを0にする
音速のコントロールは気にする必要がない
俺はあとをつけられていた、
ただし俺自身が背負ったカバンにだった
こうして気づくことはその自意識と
自意識過剰の関係で起こる現象だ
俺は尾行者に通告される
「お前は立ち止まってしまった、そうして考え込んでしまった、」
気づいている。というサインをまだ音速に乗
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)