(ゐ)のひと/たま
んだ。
浅ましい年金詩人は嫌だなあって思うけど、毎日パートで稼いでも月九万あったらいいほうだし、地方の時給は安いし、なんかほかに手っ取り早いものはないかしらって、考えたら、そうだこの手があったのだなんて、だから年金詩人は、我が国の出版業界に大いに寄与していると思う。
まあ、それでも、死ぬときはひとりだし、家内を誘って死ぬわけにもいかないから、老後の足しになればと、がんばって書いてるけど、家内も犬も相手にしてくれない。もちろん、それでかまわないけど。
小説を書き始めたのは定年退職間際でした。六十歳を目の前にして、二十代の忘れ物を思い出したというか、後片付けしなきゃあというか、それにし
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