ヨラさん/たけし
 
ヨラさんは小児麻痺だった
ヨラさんはよく笑った
ヨラさんはそのたび涎を机に垂らした
ヨラさんは頭が良くてクラスでいつも1番だった

僕はヨラさんを笑わせるのが好きだった
僕はヨラさんの涎をそのたびハンカチで拭いた
僕はヨラさんの手を引いてよく一緒に下校した
ヨラさんの手はいつも冷え切っていた

クラスとメートの何人かは「あいつらはできている、気持ち悪いな」とあからさまに笑いながら言った
僕はある日、そいつらを屋上に呼び出して殴り合った
ヨラさんは僕が教室に戻って来ると、黙って鼻血を拭いて消毒してくれた
「あいつらは宇宙人同士だから」
そう言う声が聞こえた
僕らは宇宙人
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