もんじゅ/たま
臨界に旅立った母は、すこし痩せたみたいだ
もう、帰りたい。という
ここには団欒がない。という
距てるものは何もないのに
働きすぎたのだろうか
午後十時二分の、電動歯ブラシは
鏡に映る、
オブジェクトの、
顔の、
わたしの、
位置を、見分けることができない
思い出せなかったのだ
どうしても
こんなところで、パスワードだなんて
出口はどこにもないの。
ここは非常口なの。と、
綺麗なお姐さんが、わたしのポケットに手をつっこむから
あ、そこにはないよ。
こっちだよ。って、
気持ちいい方を指差す、
わたしは
暗い港に
夜明けを訪ねて
遅い
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