夜への想い/ヒヤシンス
天の慟哭か大地の怒りか人間が驚愕するのは決まって夜だ。
神秘の詰まった夜を私は愛する。
それはロマンに満ちた星空だけによるものではない。
何とも言えぬ甘美な恐怖とそこはかとない漂いがあるからだ。
そこに生ぬるい現実は無い。
灼熱の業火に炙り出される現実と氷結の現実とがあるばかりだ。
そんな中にあって私という個は初めて花を開くのだ。
と同時に蜜を啜りにくる餓鬼どもを私は好まない。
静謐の中に生きていたい。
辺境の地に佇む永遠でありたい。
善の心で美を表したい。
両性具有の現実を夜に漂い、
強靭なリズムがとめどなく溢れては消えてゆく。
そんな夜を私は愛する。
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