世界の涯て/渡辺亘
 
精神科で診察を待っていると
世界の涯てまで来ちまったなぁと思う
しゃがんで煙草を吸う少女
無気力な眼で空を見つめるおばさん
この風景の中に私もいる

悲しんでも悲しんでも
時間はもとに戻らない
その事だけは証明された
だからせめてしっかりした字で
詩を書くことにする
せめてしっかりした足どりで
この世界を歩こうと思う

診察が終わり
外に出るともう真っ暗
コンビニの灯りだけが
煌々と光っている

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