正化/フユナ
正化さんじゅうなん年
世間では
本を検閲する政府と
守る図書館で
どんぱちやっているらしい
銃弾の飛ぶ
大通りの裏路地で
私たちは聞かせる
ひととき限りのうた
ひとりの喜びや恋の執着
殺意や絶望のものがたり
検閲されるだろう確信がもてる
ひとの心のうちを
私やあなた
私たち
詩人はうたって聞かせるだろう
本などは焼かせておけば良い
あなたが焼かれるよりなら
また詩から
人々は歌声をあげる
もし平成の次に
正化になったとしても
人々は
少なくとも
詩人は
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