生活/鷲田
大きな塔があった。
ある男は大きな塔の頂上に登れば何でも見えると思った。
そして、ある朝、その塔に登り始め
一歩、一歩、階段を踏みしめて頂上を目指した。
辛い時もあった。孤独を感じる時もあった。
ただ、その男は誰とも連絡を取らずに一人歩むのだった。
数時間後、男は頂上に辿り着いた。
そして、そこからの景色を見た。
一面には今まで見たことがない、広大な大都市の姿が映った。
遠くに山々が連なり、太陽の昇る方角がしっかりと確認出来た。
北にはそびえたつ高層ビル群があり、西には緑に覆われた公園があった。
東には整った住宅街があり、南には彼方まで流れる川があった。
男は達成感
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)