爛熟/白糸雅樹
 
幼い頃に言葉を喰らいすぎたのだろう
ジャンキーであると気づいた時には遅かった
わたしのなかには茱萸の実に似たかたちのものが棲みついており
それが私を満たしがんじがらめにする
 
わたしは哀しいのだろうか
哀しんでいるのはわたしだろうか
塩辛く苦いその味に支配された端っこに
ふしぎがっているこどもがいる
 
紅く透き通った実が膨れあがる
破裂しそうなからだを抱えて
わたしは饐えた甘酸っぱい果汁を際限もなくしたたらせる
 
ダレカワタシヲ搾ッテクダサイ
わたしがわたしを認識するために
欲望が要る
 
(言葉が過剰すぎる)
 
幼い頃に言葉を喰らいすぎたのだろう
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