SAD/ヒヤシンス
人工的な街で君はその才能をいかんなく発揮した。
時に夢見るように。時に現実に抗いながら。
レゲエのリズムにただその細身の体を漂わせながら。
きっとその時、神様に目をつけられたんだね。
黄昏時に思い切り悩み、傷ついていたのかい。
信用っていうものを信じてはいなかったのかい。
ただ小気味良く刻むベースの音に酔いしれながら、
ビールを飲み続けていたね。
他人は君に勝手なことを言っていたよね。
君は生きたかったんじゃないのかい。
もしも君自身が選んだ道なら僕は悲しくてたまらない。
僕らは君の分まで精一杯生きてゆくしかないじゃない。
生きてゆくしかないじゃない。
そう、僕は君の歌った土曜日の夜に生きるって決めたんだ。
戻る 編 削 Point(6)