フロント硝子/
あおい満月
(あれは、何だったか)
火竜になって飛んでいった私の分身が見たものは。
食いちぎられた街、
灰になった街路樹、
口の中が埃臭い。
私は私が街を食い散らかした事さえ覚えていない。
急に何かが叫びたくなって声を上げると
口からは焔が飛び出してくる。
私は魔物になったのか。
私は魔物だ。
見えない鋭い牙を持つ
鱗で覆われた生き物。
蝙蝠のような羽根を持つ背中
[
次のページ
]
戻る
編
削
Point
(8)