花火/為平 澪
 
私は 地獄通りの道を歩いている
「詩人」という、重荷を下ろせば きっと
地獄通りを 通らなかったに違いない
こんなにも暗く、高潔で、淫靡な道を 
コトバだけで築き上げた 女の迷路からまだ出られない
ドクダミの花を見つけるたびに 
白い十字の傷跡を拾って 苦く舐めながら
女が抱く腕の深さに打ち震え地獄通りを振り返る

            ※          
          
こい、は 夕焼け空の暮れてゆくデパートの屋上にあった
私は街灯が灯る頃 焦げた空の残骸を拾い集めてファイルに仕舞う
待ち合わせ場所の懐かしいお喋りなら 風と私で片付け
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