机上の対話/服部 剛
 
天に昇った恩師が好きだった
白のグラスワインを
向かいの空席に、置く。

あまたの想い出を巡らせ、僕は
白いゆげを昇らせる
珈琲カップを手許に、置く。

――そうして夢の対話は、始まった。

一冊の本の中にいる、主人公が
長いトンネルの暗闇を抜けて
日向(ひなた)の道を往く、あの物語について。  





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