ガム/あおい満月
 
肉を食べたはずなのに、
私はさかなを吐く。
さかなたちは私の咽喉から、
ぴしゃぴしゃ、
躍り出て、
シンクのなかを満たしていく。
ぎらぎらの鱗を翻し、
ちいさく大きな目玉が私を視ている。
蛇口を捻って流そうとすると、
さかなは銀色の牙を剥き出しにして、
この腕に噛みついてくる。



夜は赤い獣に喰われて暮れていく。
さかなに噛みつかれ
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