猥雑な日々/初代ドリンク嬢
 
ふにゃふにゃと
スローモーションで歩いてきた女の人は
いつも穏やかに笑っている友達
「こんにちは」
ふわふわと歩いていった彼女は
ちょっと上等な画用紙くらいの厚みしかなかった

辺りを見ると
みんな
へなへなと
くねくねと
くにゃくにゃと

スローモーションで
浮かぶように
泳ぐように
ゆっくりゆっくり
紙のように
軽く

近所のおばさんがやっぱり
へらへらと歩いてきて
私の前で立ち止まった
挨拶しながら
腰のあたりを指で押してみると
紐でかたどった人形みたいに形が変わった
面白くなって
木も、道も、ベンチも
指で押したり
引っ張ったり
クレイアニメより簡単に様子が変わった

自分の腰も細くしようとしたけれど
私は重すぎて
動けなくて
じっと
ベンチでみんなを見てる

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