ささくれ/あおい満月
風の車内に、
弾丸が飛び交っている。
女の鋭い視線に、
私の眉間は打ち負かされる。
ここでは、
誰もが皆、
小さなスライド硝子のなかに弾丸を隠している。
ある男は弾丸を飼っている。
指で器用に操りながら、
鋭く見えない毒を増やしながら、
架空の餌を与えている。
一つずつ、
弾丸が肥えていく。
スライド硝子に収まりきれなくなった弾丸は、
硝子を突き破り、
呼吸する誰かの肺の中に飛んでいく。
*
目が覚めると、
足跡で埋め尽くされた部屋にいた。
白くカビた足跡が
壁の肉を蝕んでいる。
遥か彼方から、
怒濤が
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