黒い道/ヒヤシンス
 

 真っ白いキャンバスに原色を塗りたくっている。
 塗るたびに黒く変色してゆく様を楽しむ。
 いつしかすべてが黒になる。
 今私の頭の中でまったく同じことが起こっているのだ。
 ピアノの単音を端から叩いてゆく。
 やはりいつしか黒くなる。
 こいつも同じだ。
 すべては黒で収まろうとする。
 私も同じだ。
 心の中で奏でられる素朴な音も思いつめれば黒くなる。
 黒くなったそいつは異臭を放っている。
 私の体もいつしか腐って異臭を放つのだろう。
 せめて異臭を放つ前に真っ赤に燃やしてしまいたい。
 燃えてしまう前になにか言葉を発するだろうか。
 燃え上がれ、私の体よ、心
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