漁師のように/小川麻由美
浮かんでは沈んでいく言葉達
言葉のありかは深層意識
漁師のように言葉に網をかける
網にかかった言葉は
時に楽しく
時に悲しい
最近は悲しい言葉ばかりが網にかかる
何度も 何度も 何度も
泣き叫んで絶叫したところで
残ったものは 疲労感のみ
ぞっとした私は
膝を抱え 怯える
こんな時は音楽が染みる
今だってNIRVANAのIN UTEROが
グサリと刺さるようだ
若き日のように嬉々としては聞けない
現在が過去になり未来は現在になる
時の正体をあばいたところで
私はまた怯えてしまうのだろう
認識 存在 恐怖を覚える
今日 網に
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