Miz 8/深水遊脚
 
はスダマミズなんていう名前を知らない。なぜ何の疑問もなくその名前を思い付いたのだろう。しばらく考えたが、誰かが宛名を隠すために必要な言葉だったのかもしれない。その名前の人だけが自分宛のメッセージだとわかる。そういう言葉だと考えれば腑に落ちた。そうなると不可解なのはこの詩ではなく、なぜ鍵となる名前を私が思い付いたのかということだった。

 翌々日の夜にお店に行ってみた。先日の告白演出の件でマスターは軽く詫びをいれてきた。まさか彼の意中の女性が私だとは来店時まで夢にも思わなかったらしい。私は苦笑いして、珈琲豆200gで手を打った。見世物として楽しんだのだからこれくらいはお代として貰ってもいいだろう
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