友/ヒヤシンス
すっかり秋色に染まった道を歩いていた。
足元を覗くと落ち葉にも色々な色があることに気づく。
こんな事にも気が付かなかったのか。
秋は徐々に深まってゆくのだ。
最初から難しい言葉など要らなかったのだ。
道往く人々が優しい挨拶を交わしている。
こんなことにも気づかなかったなんて。
とても身近に善と美が存在していたのだ。
目の前のノートに何やら訳の分からない言葉が並ぶ。
私はノートを燃やしてしまいたいと思う。
或る詩人の詩集に目を通すと自分が恥ずかしくなる。
簡潔に素直に生きたい。
私の捩れた魂に息をそっと吹きかけてくれた人。
そういう人を私はあえて友と呼ぼう。
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