老人の悪意/……とある蛙
キャンバスにぶちまけられた
黒い染みは
ロールシャッハテストの染みではなく
怒りの沸点を超えた悪意の染み出たものです
俯瞰して眺める自分の視点は
この惑星の遙か三萬キロ上空にある
季節外れの黄色いハイビスカスの雌蕊の上にあり
自分のリアルな肉体の頭上には薄い春の雲が視界を遮っています
心なしか揺れる頭蓋骨の中身は
髄膜との隙間に悪意が充満しています
脊椎も同様で
髄膜と脊椎との間に悪意が充満しています
そして
その悪意のため網膜の裏側に
あの黒い染みが
悪意の染み出た
ロールシャッハテストの染みが裏返しに映じています
呼気が臭い
老人の意気地無さよ
はるか遠方の夕空に鳴き叫ぶ
恐竜の子孫の黒い飛翔体は
悪意そのまま体現します
いたずら者のヘッケルジャッケル
そのように生きることができれば
死ぬ間際
おんの字とウインクができる
と今から準備をしている始末です
かっかっ哄笑
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