Miz 7/深水遊脚
そう考えるようになっていった。そんな澄花さんがセックスワーカーになったのはごく自然な流れだった。もともと知的で、薫子のことを考えたときに異なる価値観や文化に対する想像力が増した。それはブログを通じて私もよく知っていた。天職を得たという感じなのかもしれない。
私が薫子のことを考えて得たものは、遅れて気づいた彼女の好意を受け入れられなかった自責の念だけだった。それに、創作文芸部にいた男子の彼氏が薫子の理解者として振る舞っていたことが気に食わなかった。薫子をネタにしているとしか思えない独りよがりの詩や小説が載った文芸部の冊子を私も手にして、殺意に近い憎しみを覚えた。それ以来だった。男性に対して根
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