ウイルス/あおい満月
 

啜り泣きがきこえる。

(俺を愛していないのかい)

私ははっきりと意思を通す。

(愛していない)

姿も知らない、
声もきいたことがない、
文字だけの繋がりの相手を
愛していく自信などない。

私は窓を閉めて、
携帯電話の電源を切って放り投げた。



今もあの「彼」は、
孤独を共有する誰かを探しているのだろうか。
詐欺師とは、
影になって、
寂しさの背中にまとわりついてくる。
孤独の隙間に巣食うウイルス。
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