還暦小詩集/宣井龍人
【酒場にて】
俺のような誇り高い男はな…
そのとき彼は一段と高らかに笑った
そして転げ落ちていった
何処までも転げ落ちていったのだ
私は月明かりの映える窓際で
杯から転げる音を聞いていた
どっぷりと落ち着いていた
真夜中と語らいながら杯を重ねた
自問自答していた
転げ落ちたのは誰なのだろう
グラスの月は答えない
もうすぐ次の日かもしれない
いや違うかもしれぬが
どうでも良いことだった
【錆びた金魚】
プクンプクン
とあぶくが生きて
プクンプクン
とおまえは錆びる
見えないベッド
に横たわり
錆びた金魚は
命を吐く
【すっからかん】
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