少年たちの受験戦争記/りゅうのあくび
の人と出会う恋愛には
役には余り立たないだろうに
ある種の知識は人生の冷凍庫で
凍りついたままだろう
短い秋が来て失恋をしたばかり
間もなく決戦の冬がやってくる
自分の狂気も現実も
もろともになって
ボーダーラインも近接していて
幻が聴こえ始める
全員集合!、とチョースケの声が
確かに自らには届いたはずで
いよいよ未知の受験勉強へと
突入している
大学近くの駅まで
永い街路樹がある道
最期に残る
紅葉が落ちる日には
決意の祈りを捧げながら
人生そのものには意味がないとか
結婚は人生の墓場であるとか
大学の先生に
無い物ねだりの万能な知識を
求めるなら
まだ高校卒業が
学歴にはなるだろう
学歴差別をすることのコストは
まったく天文学的な金額だろうに
チョースケは身体を
張ってアドバイスをするけれども
ただそれだけだ
誰しもの夢を実現するためには
苦労をして信用を積み上げてみれば
誰しもの人生によって
きっと信頼が産まれるだろう
※敬称略
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