◎モザイク画/由木名緒美
 
高く 高く 
昇っていく
あなたが光体であるほどに
私は透過する重力となろう
相容れない時間軸が
現在(いま)ここで触れ合うなら
蜥蜴は月に首をもたげ
大地を揺らす露草はその皮膚を潤すだろう

言葉と言葉の抱擁が
愛の密接を希釈させていく
裸の告白がどれほど真実を呼び寄せられるのか
愛情の能動に憧れながら
この身はどこまでも空の受け皿
盛り付けられた美しい色彩が
喉を通ることなく消滅してしまう
必要とされるナイフでありたい
その胸を切り開き鼓動を聴く
あなたが望んでくれるなら
果てしなく付き添う影にだってなれるのに

今夜、空は雲に覆われ
願いは聞き入れられそうにない
冷たいテーブルに頬をつけて
静かな思想の足音を招き寄せる

必要としているのです
愛ではないと示されるなら
それは必然なのです

来歴は暗号で耳元に囁いて
惑う地上絵は明日も悲しみを交錯させていく
未来への符合を生き映すあなたの陽炎に身を委ね
終止符に行き違う相慕を手放しては
転回する頁に出逢う訣別を果て無く延長させている




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