わけあり/瑞海
 

私が9月を楽しみにしているのは
ちょっとした理由があるからなんだ

私が嘘をつくことがあるのは
ちょっとした理由があるからなんだ

私が金木犀の香り好きなのは
ちょっとした理由があるからなんだ

他にも
理由があること
たくさんある

君といつも話をするのは
ちょっとした理由があるからなんだ
ほんとに些細なことさ
しかし私はそれに
ずうっと捉われている

あの夢を思い出すのは
ちょっとした理由があるからなんだ
こんな私を戒めるための
深く喰らう夢

雨のせいでもあるけれど
今横になっているのは
眠たいだけさ

そう、眠たいだけなのさ

深い闇に落ちて
そこから君が引き上げてくれるのを
待っているだけなんだ

本当に
それだけ

それだけ




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