接吻/
あおい満月
皮を剥くことばかり求めて、
実の味を忘れた
林檎みたいな私の肌に、
あなたは歯をがりり立てました。
私はその痛みに歓喜し
ちいさな翼を羽ばたかせ
あなたの心のなかの
小さな宇宙を泳ぎました。
皮を剥くことばかり求めていた
私のことばは、
ひらひら、ひらひら、
蝶になって、
風に溶けていきました。
夏の終わり、
秋の唇の気配が聴こえる、
分厚い雲の間から覗く青空に、
私は小さな接吻をした。
透明ななみだの向こうに、
かすかな虹がみえた。
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