コピーアンドペーストエンド/
そらの珊瑚
夏のあいだ僕らは
危うさと確かさの波間で
無数のクリックを繰り返し
細胞分裂にいそしみ
新学期をむかえるころ
あたらしい僕らになった
けれど
ちっぽけなこの教室の
ひなたと本の匂いとザリガニが
混ざったような特別な匂いを
ひどく懐かしいと思うのは
ふるい自分の残骸なのだろうか
この場所に
君だけがいないのは
おそらく
コピーに失敗したからに違いない
ずるいよ
君は
夏休みの宿題を
永遠に提出しないつもりなのかい
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