日々の山路 /服部 剛
「禅ヒッピー」という本の中で
遥かな山並みに目を細めつつ
なだらかな麓の道を、二人は往く
――何だか最高の気分さ、ジャフィー
――日々の道と同じ空の下だよ、スミス
「比較とはおぞましきことなり」の一行が
目に入った、瞬間
どうやら僕は気づいたようだ
日頃はいつのまにやら「目隠し」をしていたことに
わっし、わっし…山路を登る
ジャフィーと歩けば
坂道さえも、何故か楽しい
二人の足音が
本を閉じた、僕の胸に
わっし、わっし…入ってくる
ぐうたら者のおいらさえ
友の背負う重たいリュックを
分け合いたくもなってくる
名付けようもなく、湧く、感情のまま
この歩調は、日々を塗り変えてゆくだろう
「目隠し」を外した
(今・ここ)の
素朴な場面に埋まってる
目に見えぬ無数の宝を、探し求めて
新たな一歩を僕は踏み出す
世の重力を、切り裂いて
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